モデルがいることの強さ

「フラワーショウ!」「ヒマラヤ」「ストリート・オーケストラ」「奇跡の教室」「ニュースの真相」「ベストセラー」など、
実話を元にした作品、実在の人物をモデルにした作品は、物語に強さを生み出し、
人々の心により大きく訴えかけます。
モデルがいる作品を取り上げ、オススメ致します。
素敵な映画ライフのお供に是非!

モンスター

『モンスター』 (“福”支配人推薦!)

役のために体重を13キロ増やし、メイクには毎回2時間ほどかかったと言われているシャーリーズ・セロンの演技が忘れられず、ピックアップ。
シネ・ギャラリーがオープンした年の初のアカデミー賞主演女優賞作品であったこともあり、当時は新米映写技師だった“福”支配人は、映写機にフィルムを掛けるたびに緊張し、アイリーン・ウォーノスのことを想像し切なくなりましたが、より映画が好きになりました。
本作では他にも第54回ベルリン国際映画祭銀熊賞、第61回ゴールデングローブ賞主演女優賞と、美人女優のメイクダウンと迫真の演技は、この年ダントツだったのだと思います。


『モンスター』  (2003年アメリカ、監督:パティ・ジェンキンス) 

フォックスキャッチャー

『フォックスキャッチャー』 (ウンノ推薦!)

『カポーティ』で頂点を過ぎた国民作家を、『マネーボール』で経営難の球団GMを題材にしたベネット・ミラー監督。
『フォックスキャッチャー』では、精神的な弱さを抱えるデュポン財閥の御曹司と、彼のレスリングチームにフォーカスしています。

「デュポン」の名前がなければ何者でもない己を認められず、自分をコーチとして慕うようにチームに強いる男。
そのデュポンに出会うまでは兄に頼ってきたチームの柱マーク・シュルツと、内心デュポンを下に見ている兄デイヴ・シュルツ。
三者の運命が絡み合い、ついには悲劇的な結末が…。

「弱さ」や「欠点」を軸に人物像を再構築するベネット・ミラー監督の手腕は、前二作以上に遺憾なく発揮されています。
主演のS・カレル、C・テイタム、M・ラファロの人物造詣は「見事」を超えて「ほぼ完璧」といえるレベル。あの濁った目の怖さときたら!


『フォックス・キャッチャー』  (2014年アメリカ、監督:ベネット・ミラー) 

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン

『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』 (やまち推薦!)

実在の天才詐欺師フランクをレオナルド・ディカプリオ、彼を追うFBI捜査官カールをトム・ハンクスが演じ、スケールの大きな「追っかけっこ」を描いた痛快作です。
1960年代にパイロットや医師、弁護士などに偽装し、世界各国で小切手偽装を繰り返すフランク。
足取りの掴めないフランクを相手に奮闘するカールを華麗にかわすフランクが繰り出す詐欺の手口が面白くてハラハラするし、妙に感心してしまう面もあり、徐々にフランクの人間的魅力に観ている側も魅了されてきます。
偽装する職業がとても華やかで、映画を彩る音楽やファッションが当時の空気感を伝えていて映画をスタイリッシュにしています。。
16歳~21歳までを当時20代後半のディカプリオが演じているのですが、幼い高校生にも見えるし、変装するとやり手の若手弁護士にも見えるし、はまり役です。
トム・ハンクスはほぼルパン三世の銭形警部。
2人の間に芽生える妙な友情が物語をただの捕り物にせず、深みを持たせているのかなと思いました。
カールがフランクに「どんな手口で弁護士になったのかどうしても分からない。」と聞いたときの返答が好きです!
軽やかに返す答えが、フランクの凄さを物語っているかのよう。
最近重厚な作品が多いレオ様。そろそろ軽いラブコメなんかにも出てほしい!

『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』  (2002年アメリカ/日本、監督:スティーヴン・スピルバーグ)

王の運命 歴史を変えた八日間

『王の運命 歴史を変えた八日間』 (ミニー推薦!)

18世紀の朝鮮王朝を舞台に、第21代国王・英祖(ヨンジョ)とその息子・思悼世子(サドセジャ)との確執を、 1762年の「米びつ事件(壬午士禍)」を通して描く歴史ドラマ。
(「米びつ事件」英祖が思悼を米びつに閉じ込め、思悼は8日後に餓死した。)

本作で思悼を演じたユ・アインが第36回青龍映画賞 主演男優賞を見事受賞しました。
また、英祖を演じたソン・ガンホは映画後半での高齢の英祖を演じるにあたり、 声をわざとからして役作りをしたという熱演ぶり。

この二人の間に起こる感情のぶつかり合いが、悲惨な出来事へと向かっていく様は、 怖くもあり、悲しくもあり、やるせない気持ちになりました。

どの親子にも親が子に、子が親に望むものが決して同じとは限りません。
ましてそれが、国王と世子(王位継承者)だとしたら、簡単な話ではないはずです。
でもそれは“愛”があってこそのこと。

この歴史的事件から、現代にも通じる親子関係を学ぶことができると思います。

思悼の息子・正祖(チョンジョ)を演じたのはソ・ジソブ。
彼が最後に見せる母へ捧げる舞は、本当に本当に素晴らしい!!!!
泣きました。
それは感動の涙ではなく、これまで観てきた物語があっての、 舞に込められた思いが観ているこちらにも伝わってきたからです。
このシーンは、私の記憶に残る名シーンのひとつになりました。


【プチ情報】

第21代国王・英祖の母親は、日本でも有名なドラマ「トンイ」のトンイ(淑嬪崔氏)です。
思悼の息子・正祖は、こちらもドラマや映画で有名な第22代国王イ・サンです。
それぞれドラマや映画での取り上げ方は違うようですが、それらと合わせて鑑賞すると、 本作もより一層楽しめると思います。

『王の運命 歴史を変えた八日間』  (2015年韓国、監督:イ・ジュンイク)

ピックアップ:『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』

2016/11/26(土)~12/9(金) ①12:00~13:45  ②17:35~19:20

1920年代のニューヨーク。敏腕編集者パーキンズ(コリン・ファース)は、
F・スコット・フィッツジェラルドやアーネスト・ヘミングウェイらの名著を世に送り出してきた。
あるとき、彼は偶然手にした無名の作家トマス・ウルフ(ジュード・ロウ)の原稿を読んでいち早くその才能に気付く。
パーキンズはウルフの陰になり日向になり支え続け……。